• ​ 松村 充

第2回 薬剤耐性(AMR)の拡大を防ぐには?

皆さんは風邪かなと思った時、クリニックや病院へ行くことがあると思います。診察を受けて、処方箋を持って薬局に行きます。そこで、薬をもらって家に帰ります。もらった薬が抗菌薬(抗生物質)の場合は、ちょっと気にとめてほしいことがあります。


「抗菌薬は、必要な場合に、適切な量を適切な期間、服用しましょう。」


薬剤耐性(AMR)の拡大を防ぐためには、感染症にかかり抗菌薬を必要とする機会を少なくすることや感染症を周りに拡げないようにすることに加え、医療の現場で、ウイルスによる感染症を始めとして、必要のない抗菌薬を処方しないという取組みが重要です。そのためには、医師に自分の症状を詳しく説明し、医師が適切な診断を下せるようにしてください。


それと同時に、私たち一人ひとりが抗菌薬を適切に使用することも重要です。

例えば、「この薬は必ず5日間、飲み切ってくださいね」と医師から指示された薬を、症状が軽くなったからといって途中で止めてしまったことはありませんか?また、「1回2錠を飲んでください」などと指示された薬を、勝手に1回1錠に減らして服用したことはありませんか?

医薬品は、医師や薬剤師の指示から外れた使い方をすると、十分な効果が期待できません。特に抗菌薬については、こうした不適切な使い方をすると新たな耐性菌が出現するリスクが高まります。

薬剤耐性(AMR)の拡大を防ぐためにも、抗菌薬を服用する際は、医師や薬剤師の指示を守って、必要な場合に、適切な量を適切な期間、服用しましょう。


もしも以前に処方された抗菌薬が残っていても、それを自己判断で飲むことは止めましょう。似たような症状でも、原因となる細菌が異なる場合がありますし、例え同じ細菌だとしても、中途半端な抗菌薬の使用は、耐性菌を増やす原因になりかねません。


また、耐性菌には、有効な抗菌薬がないことがあるため、まず感染しないことも重要です。感染を予防するためには、日ごろから、正しい手洗いの徹底やアルコール消毒、マスクの着用、うがいなどが重要になります。また、生活や食事、休養などに配慮して、健康に気をつけることも大切です。

私たち一人ひとりが、抗菌薬に対する正しい知識を持ち、正しい使い方をすることで、薬剤耐性を広げないようにしましょう。

帝京大学 医療技術学部 臨床検査学科 准教授 松村 充

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